Column避難安全検証法使いこなし術

(43)SED活用法(2) コーナー入力による面積自動按分と平均天井高さ自動算出

2025/03/01

表紙写真.jpg

 前回の室オブジェクトの高さに関連する設定に引き続き、SEDの便利機能のひとつである、面積自動按分と平均天井高さ自動算出について解説します。

面積自動按分とは

 1つの室に複数の異なる用途がある場合、避難時間判定法(ルートB1)では在館者密度、積載可燃物の発熱量は、それぞれの範囲の面積に応じて面積按分して検証します。煙高さ判定法(ルートB2)では在館者密度はそれぞれの範囲の面積に応じて面積按分し、積載可燃物の発熱量は室内の最大量を用いて検証します。SEDでは、室オブジェクトの中にコーナーオブジェクトを配置することによって、面積按分や最大積載発熱量の取得を自動的に行うことができます。

入力の方法

 図のように、375㎡の物販店舗の一部に50㎡の喫茶コーナーが設置されている場合、以下の手順で入力します。
面積按分.jpg

(1)売場を用途「店舗(その他)」で入力します。
売場入力.jpg

面積は室オブジェクトの形状から375.0㎡と算定され、用途「店舗(その他)」から
 在館者密度:0.5/㎡×375.0㎡=187.5
 積載可燃物の発熱量:480MJ/
と自動的に計算され、室属性に設定されます。

(2)売場内にコーナーを用途「簡易な食堂」で入力します。
コーナー入力.jpg

面積はコーナーオブジェクトの形状から50.0㎡と算定され、用途「簡易な食堂」から
 在館者密度:0.7/×50.0㎡=35
 積載可燃物の発熱量:240MJ/
と自動的に計算され、コーナー属性に設定されます。売場の属性表示を見るとコーナーを入力する前の状態から変わり
 在館者密度:0.527/㎡、197.5
 積載可燃物の発熱量:448.0MJ/
と表示されています。
 コーナーを入力すると、在館者密度、積載可燃物の発熱量は自動的に面積按分されます。この時、室オブジェクトの属性パネルに表示される「按分表」をクリックすると按分表が表示され、面積按分計算の根拠を確認できます。
按分表.jpg

 按分表は、計算書出力「計算情報リスト」に出力されます。
計算情報リスト.jpg

 煙高さ判定法(ルートB2)の場合は、在館者密度は面積按分され、積載可燃物の発熱量は、室内の最大量が採用されます。

コーナーを利用した平均天井高さ算出

 コーナーには天井高さの属性がありますので、平均天井高さも自動的に算出できます。
 図のように、天井高さ3,000mm、面積375㎡の室の内、面積50㎡が天井高さ2,500mmの下がり天井になっている場合、以下の手順で入力します。
平均天井高さ.jpg

(1)室(1)CH3,000、室(1)の用途(ここでは事務室)で入力します。
室(1)入力.jpg

(2)下がり天井部分をコーナーで入力します。
 コーナーコマンドを選択したら、コマンドバーの「室と同一用途」に☑オン、天井高さを2,500に設定した上で、下がり天井を入力します。
  コマンドバー.jpg

下がり天井入力.jpg

面積はコーナーオブジェクトの形状から50.0㎡と算定され、天井高さはCH2,500とコーナー属性に設定されます。室(1)の属性表示を見るとコーナーを入力する前の状態から変わり天井高さ:CH2,933と表示されています。
 天井高さが異なるコーナーを入力すると、自動的に平均天井高さが算出されます。この時、室オブジェクトの属性パネルに表示される「按分表」をクリックすると按分表が表示され、計算根拠を確認できます。
 また、「室と同一用途」のオフとして用途を選択すれば、面積按分による在館者密度、積載可燃物の発熱量の算出と併用することも可能です。

コーナーオブジェクト入力に関する注意事項

・複数のコーナーを入力すれば入力されたコーナー全てを利用した面積按分計算が行われますが、それらが重なっていると正しい結果は出力されません。
 入力したコーナーオブジェクトが重なっていると、重なった部分の面積がダブルカウントされ、正しい結果が算出されません。この警告はログに表示されないので注意が必要です。

・入力位置は計算には影響しません
 コーナーは室のどの位置に入力しても計算には影響しません。SEDはコーナーオブジェクトの以下の数値を検証に利用します。
①コーナー図形から算出される面積(任意の数値入力も可能)
②コーナーオブジェクト属性に設定される各項目

・室オブジェクトの外には入力できません
 コーナーオブジェクトは、室内の部分的な属性を設定するものですので、室オブジェクトの外や、複数の室オブジェクトに渡る入力はできません。

・室オブジェクトの頂点を利用すると確定できない場合があります
 複雑な形状の室オブジェクトの頂点と重ねて入力する場合、コーナーオブジェクトの確定ができない場合があります。頂点座標の計算誤差により、コーナーが室からはみ出ていると判定されることが原因です。入力し直しても確定できない場合は、室オブジェクトの頂点に重ならないように入力し、コーナー面積を手動で入力してください。

・コーナーの求積図は自動作成されません
 コーナーの面積按分表は自動作成されますが、求積図は自動作成されません。検査機関によっては室面積算定と同様の求積図の提出を求められます。その際は別途作成して提出するようにしてください。

 今回は、コーナー入力による面積按分、平均天井高さの自動設定について解説しました。コーナーオブジェクト入力時の注意事項をしっかり理解してSEDをご活用下さい。

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本コラムで用いたSED Ver3.1.19.1

本コラムで使用したSEDファイル

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